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住民が支え合う島に

5年間で74人が命を絶つ
■精神的に不安定な時期  4月は人事異動に伴う転入や配置換え、入社、新入学で多くの人の生活環境が変わ。とりわけ八重山は国・県の出先機関、学校が多く、毎年1000人ほどの人々が入れ替わる。1日には年度初め式が行われ、厳しい時代への決意も新たに業務をスタートさせた。  家族を残しての単身赴任、あるいは一家での赴任もあろう。1日も早く職場環境に慣れ、地域にとけ込んでほしい。数多くの離島を抱える郡内には、独特な伝統行事があるし、島ちゃび(離島苦)の悩みもある。行事に参加して見聞を広め、さまざまな課題克服に努めるよう望む。さらに積極的に地域ボランティア活動も行い、新しい生活を楽しもう。  また、高校に入学する新入学生は、人生で最も思い出に残る時期だ。出会いを大切に多くの友をつくり、勉強・部活動に学園生活を満喫しよう。  ただ、この時期は新しい環境に適応出来なくなるケースもある。精神的に不安定な状況に陥る人もおり、そのような場合には、不安解消に同僚や級友など周辺の人々の支えと協力が必要になる。 ■高い中高齢者の自殺  経済、社会情勢の大きな変化で近年はストレス社会といわれ、さまざまな要因で自ら命を絶つ自殺者が後を絶たない。  八重山福祉保健所によると、2003―07年度までの5年間に郡内で自殺した人は74人にものぼる。八重山は中高齢者の自殺の割合が高いのが特徴だ。これは本島地区が自殺者の10%前後、宮古地区20%なのに対し、八重山は25%以上と突出している。さらに働き盛りの40〜50代も多い。  男性の自殺者の約3割は生活苦が原因といい、事態を重視した県は2006年から自殺予防キャンペーンを始めた。09年度には働き盛りの自殺対策として、メンタルヘルスや多重債務など経済問題への支援に力を入れ、石垣市も役所に多重債務の相談窓口を開設した。  しかし、その機能は果たされているのだろうか。確かに行政間のネットワークは確立しているが、さまざまな理由で追い込まれた人々をどれだけ受け止め、サポートしているのだろうか。 ■隣人との関係が希薄化  今年に入り、八重山では特異な2件の自殺が起きた。40代女性が有毒ガス・硫化水素を発生させて死亡し、周辺住宅に2次被害の及ぶ恐れがあった。また夫婦と子ども3人の一家5人無理心中事件は、郡民に衝撃を広げた。  自殺はさまざまな要因が重なって起きている。遺書のないケースが増え、原因を究明しにくい。  ただ、昔といまと住民の生活環境は大きく変わった。核家族化が進み、両親や兄弟などとコミュニケーションをとりにくくなっている。  さらに隣近所とのつきあいも希薄化した。共同住宅の増加で、隣近所を知らない世帯が増えている。悩みを相談すること自体が、次第に難しくなっているのは確かだ。  地域の核となる公民館活動は伝統芸能の継承や交流レク、敬老会など定例行事に終始していまいか。地域住民の悩みや課題を掌握する視点は十分だろうか。  プライバシーが重視される現在、それは難しいが、行政まかせにせず、知恵を出し、共に支え合う社会の再構築を考えよう。相互扶助精神のない島は味気ないものである。

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