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植えたフクギでCO2削減 カーボンオフセット

将来、商品化目指す石垣市商工会
ツアー客ら温暖化防止に貢献
 2008年12月8日、底原ダム南側にある畑。大分県湯布院からやってきた女性たちがフクギの苗と種を植えた。  一行は全員女性で、ゆふいん観光行動会議おもてなし委員会(中谷靖子委員長)のメンバー14人。この日午後に来島、昼食後に島内観光をしたあと、植樹会場を訪れた。  ツアー客はフクギの苗をポットから土に移し替え、12粒の種も植えた。植えたフクギが、石垣島旅行で排出した二酸化炭素を吸収してくれるものと期待して…。 ■カーボンオフセット  今回のツアーは年2回の研修旅行の1つ。2泊3日のツアー初日に、石垣市商工会のいしがきブランディングプロジェクト推進委員会が企画した「カーボンオフセットツアー」が組み込まれていた。  カーボンは炭素、オフセットは相殺あるいは埋め合わせを意味する。観光ツアーにカーボンオフセットを導入して、移動によって排出する二酸化炭素を帳消しにしようという試み。  全国的には「お金を払ってオフセットする」「海外の国や地域での温室効果ガス排出削減に貢献する」というツアーが主流だが、市商工会の取り組みはひと味違う。  「これまで取り組んできた自然観察会だけでは客を呼びにくく、商品になりにくい。カーボンオフセットツアーをくっつけることで自然観察をブランド化できるのではないか。石垣島は都会から遠く離れているから移動によって二酸化炭素を出す。だからこそ、カーボンオフセットをやる意味がある。相手に訴えるメッセージもあるのではないか」と、事務局をみる市商工会の平田睦さん。  お金を払うだけで終わるのではなく、実際にオフセットを体験でき、石垣島内の温室効果ガス排出削減に貢献できる。そんな仕組みを構築しようというのだ。 ■エコポイント  このツアーにはもうひとつ特徴がある。商店街の店舗で構成する「わくわくスタンプ会」で使用できる500円分の「エコポイント券」が配布されることだ。もちろん、植樹の経費とともにツアー費に含まれている。  同券を使ってもらい、少しでも商店街の活性化につなげたいとの思いがある。500円と少額だが、何かを買うときに足しにしてほしい。いわば商店街に足を運ぶ動機付けだ。使用しなかった場合でも、「美ら海美ら山募金」に寄付できる仕組みを用意した。  植樹による温暖化防止、エコポイントによる商店街活性化、あるいは寄付による自然環境の保全。そう考えると、“一石三鳥”にもなるのだ。 ■目指せ商品化  昨年11月8日の1回目のツアーには関西を中心にIT関連企業の社員らが参加。名蔵アンパルやネバル御獄を訪ねるなど自然観察の要素が強かったが、12月8日の2回は女性のみの参加だったこともあり、ショッピングやグラスボート遊覧など軽め。いずれのツアーも最後に植樹が行われた。  石垣島自然観察の会の谷崎樹生会長がガイドを務め、「フクギは直根で密集して植えることができる。3年たつと1メートル余になるでしょう。育ちは遅いが、丈夫。これが防風林になります」と説明する。  ツアー客からは「植樹とその未来を感じさせるのは憎い演出だと思った」「自分の植えたフクギがこの先、どうなっていくのか、楽しみ。そして、そのフクギがどれだけ二酸化炭素の削減に貢献できるのか。いろんな意味で気づきがあった」との声が寄せられた。  商工会では今年1月にツアーを企画しており、将来的には商品化を目指したい考え。平田さんは「今年は植樹によるカーボンオフセットが第3者機関に認証されるかどうか取り組んでみたい」と話している。 ■再訪の動機付け  観光客を引きつける要素には自然環境、景観、人情、飲食などのほかに、植樹も入るのではないか。また来てみたいという理由は、多ければ多いほどよい。今回のツアー客にしても、自分が植えた木が将来どう成長するのか気になるだろう。ツアーでは、平田さんが植樹者とフクギを写真にとり、植樹記念証に張って贈呈した。ホームページなどで成長過程を報告することにしている。  12月8日に植樹を終えた中谷靖子さん(66)は「海あり、山あり、植樹ありで楽しかった。ただの観光とは違い実のある観光だった。健康に気をつけて、また何年か後に来たいですね。そのときは大きくなっているかな」と笑顔でバスに向かった。
  • タグ: 2009新年号温暖化観光産業
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