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八重山の生態系を脅かす外来種 環境省、3種の生物に緊急対策

オオヒキガエル、西表に侵入
インドクジャク対策に苦慮、駆除作業難航
シロアゴガエル、繁殖地の水場で駆除
八重山から本島へもサキシマハブ
 近年、外来生物の急増が全国的に問題視される中、郡内でも社会的な人口増に伴う外来種の持ち込みや、すでに増加した外来種による八重山特有の生態系への影響が懸念されている。「外来種」となると動植物を含めてその種類や移入時期の定義が異なることもあるが、外来生物法(特定外来生物による生態系などに係る被害防止に関する法律)に基づいて環境省自然環境事務所では特定外来生物対策に向けた取り組みを行っている。外来生物法で規定されている特定外来生物は主に明治以降に国外から県内に持ち込まれたり移入した動植物。そのうち、同事務所では八重山管内にいる「オオヒキガエル」「インドクジャク」「シロアゴガエル」の3種の対策に取り組んでいる。  外来生物の規定については、原産地の国別や移入時期などさまざまなとらえ方もある。犬猫などのペットについても、本来郡内にいなかった生態系が持ち込まれたという観点から外来生物とする視点もあり、イタチやネズミなど、食用やネズミ駆除のために人為的に持ち込まれた外来種も多い。  同事務所で外来生物対策を担当する阿部慎太郎課長補佐は「八重山からすると明らかに外来生物だが、法律上の外来生物ではないということがある。なにしろ外来生物がたくさんおり、どこまで対策を講じることが出来るか悩ましいが、出来るところから、緊急性があるところから対応するしかない」と話す。 【インドクジャク】  郡内各地でインドクジャクが確認されており、同省自然環境局ホームページによると小浜島で約400羽、石垣島で約90羽、黒島で約50羽、新城島で約25羽いることが推定されており、西表島にも小浜島から飛来することもあり、高密度で生息している小浜島ではトカゲ類などの小動物が激減しており、クジャクの補食による被害が懸念されている。  同局では西表国立公園のグリーンワーカー事業を導入し、駆除方法を検討。個体数が少なく、駆除可能と見られる新城島では鉄砲による駆除作業が行われ、これまでに30―40羽が捕獲されているが、いまだ駆除には至っていない。  同島でのクジャク対策について阿部課長補佐は「できれば、06・07年度で駆除したいと思っているが、出来るかどうかは分からない。新城島でさえ、あと何羽しかいないという状況でも駆除に入るとそれより多くいたりすることもある。あの小さな島で何羽いるということを完全に把握できないので、石垣島の生息数も変動していると思う」と話しており、対策に苦慮しているのが実情だ。 【オオヒキガエル】  石垣島に多数生息する米国原産のオオヒキガエルはハワイ、台湾や南北大東島を経由して持ち込まれた可能性が高いといわれている。石垣島はすでに多くの生息が確認されており、同事務所では石垣島から西表島への流入を食い止めようと、石垣港湾内での流出防止策を検討している。  西表島への定着が懸念されているため、同事務所では西表島内の住民にオオヒキガエルの目撃情報提供や鳴き声の確認などの協力を依頼。すでに10数匹確認されており、同島での内本格的な流入防止・駆除作業の必要性が高まっている。  オオヒキガエルには毒を持つ耳腺(じせん)があり、イリオモテヤマネコやカンムリワシがオオヒキカエルを捕食したときに、どのような影響が出るのかが懸念されていることもあり、オオヒキガエルの駆除に向けた生殖場所の特定を急ぐ観点からも地元の協力が不可欠だ。  同事務所の阿部課長補佐は「オオヒキガエルが増えることで本来食べられることの無かった動物への影響や在来の両生類層、同じような生活圏を使っている動物たちへの影響もある」と話す。 (形態)  体長9―15センチ。体重60―400グラム。鼻孔から眼、上まぶたの内縁と後縁に骨質隆起を持り、耳腺はひし形で巨大。 (原産地)  アメリカ合衆国テキサス州南部から中米、南米北部 (侵入年代)  南大東島には戦前。小笠原父島には1948年、八重山諸島石垣島には1978年ごろ、鳩間島には1984年ごろ。 【シロアゴガエル】  シロアゴガエルは07年7月に石垣島での繁殖が初めて確認された。カエル類としては比較的乾燥に強いことなどから、環境省では建築資材などに混入するなどして石垣島に移入されたとみている。鳴き声による調査を行ったところ、石垣空港周辺に38カ所の繁殖地が点在していることが分かっている。  シロアゴガエルの対策について同事務所の阿部課長補佐は「沖縄本島から宮古までまん延しており、今年になって八重山に入ってきたことが分かった。今は定着の初期なので出来れば定着させたくない」として、繁殖している水場で塩素をまき、オタマジャクシを駆除する対策を講じている。 (形態)  体長47―73ミリ。体色は褐色で背中に黒すじを数本持つことがある。 (原産地)  インド北東部からフィリピンに至る東南アジアのほぼ全域。 (侵入年代)  1964年に沖縄本島で初めて記録され、宮古島でも1997年に記録された。 ■今後の外来生物対策  今後、郡内に流入する可能性のある外来生物について、阿部課長補佐は「小笠原諸島では貝を食べる陸生のニューギニアヤリガタウズムシが貝類に影響を与えている。沖縄本島にはすでに入ってきており、カタツムリなどに影響を与える外来生物として非常に問題がある。沖縄本島に入っている外来生物は八重山に入ってくる危険性が一番高い」と指摘する。  八重山に流入する外来種とは別に、八重山から他地域に流出し、多地域にとって外来生物と呼べるものもおり、サキシマハブやミナミイシガメなど、八重山の在来生物が沖縄本島で野生化して増殖し、沖縄本島の在来の生態系に影響を与える可能性がある生き物もいる。  現在、外来生物が問題視されていることについても阿部課長補佐は「今まで騒いでこなかったため、これだけ大騒ぎしている。石垣、八重山が作り上げてきた生物層をなるべくかく乱しないようにする努力は本当はもっと早くから取り組まなければならないものであり、これからも取り組まなければならない」という。
  • タグ: インドクジャクオオヒキガエルシロアゴガエル外来種
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